『広島にカープはいらないのか -カープ主砲論を語る』迫勝則(南々社)

巨人ファンの俺がなぜこの本を手に取ったのか・・・それは80年代、毎年のように優勝争いを繰り広げてきたライバル球団(今年は最下位争いのライバルになってしまった)としてすごく気になるタイトルだったから。
で、実際読んでみて、予想していたとおりカープへの熱い想いに溢れている。そして副題に「カープ主砲論を語る」とあるように新井、嶋、栗原への並々ならぬ期待がひしひしと伝わってきた。

共感できる部分もけっこうあった。例えば、
「広島周辺都市(倉敷、松山など)での主催試合の増加」
「緒方、前田、野村の活躍は、嬉しい反面若手の伸び悩みも意味する」
交流戦で巨人戦の放映権料が減るなら、パとの新しいカードを看板にしようとする前向きな姿勢が必要」
などは、巨人ファンの俺も常々思っていた意見だったり。

ただ、最後の章がちょっと残念。「さらば、巨人主義」と題された章なのだが、今さら「脱・巨人」もあるまい。それは30年前=カープ初優勝の頃にとっくに推し進められているべきであり、つい最近までそれを真剣に考えて来なかったってことでもあるんじゃないか?そして、
「(巨人一辺倒の)土壌を支えている巨人ファンというのは、独り善がりの人が多い。数の論理と言おうか、あまり他の尺度を持ち合わせていない人が多い。」
と、球団の経営方針とかに対してではなく、ファンに対してそういう記述があったのは残念で仕方がない。
(まあ、全ての巨人ファンがそうだとは言っていないし、あとがきにも「カープへの切なる思いが高じて、特定の方の心を傷つけるような不適切な記述があったとしたらお許し願いたい。」と書いてあるように、ついそういう表現になってしまったってことなんだと思いますが。)
カープを愛するが故に書いた本ならば、カープを愛する言葉で章を終えて欲しかったなあ。

私的評点:4★★★★☆(最後の章がなければ5をあげても良かったんたが・・・。まあでも、熱い想いはすごく伝わってくる。こういう熱いファンがカープを育て、支えてきたんだろう。カープファンは必読。)